IoT製品を作るためには、専門的な知見やスキルが必要になります。そのため、経営者が決めたからといって、すぐに開発に着手できるわけではありません。あらかじめエンジニアを確保しておかないと、優れた製品を生み出すことは困難なのです。では、どのようにすれば有能なエンジニアを確保できるのでしょうか。以下では、そのためにとり得る施策について、見ていきますので、ぜひ参考にしてください。
エンジニアは慢性的に人手不足
まずはじめに、IoT製品の開発を手掛けることができるだけのスキルやノウハウを備えているエンジニアは慢性的に人手不足であるという事実を認識しておく必要があります。例えば、2019年に経済産業省が公表している「IT人材需給の試算結果」という資料によると、国内におけるエンジニアの需給状況は年々逼迫しており、2030年時点では最小で16万人、最大で79万人も不足するとされています。これはあくまでも予測なので、必ずしもその通りになるとは限りませんが、身の回りのあらゆるものがIoT化されつつある状況を見る限り、その確度は決して低いとは言えないでしょう。
このようにエンジニアが人手不足に陥る理由にはいくつかのことが考えられますが、中でも大きいのはIoTに関する技術が日進月歩で進化し続けているという点です。継続的にスキルを磨き続けなければエンジニアとして活躍できなくなってしまうため、それなりに自己研鑽への意識が高い人材でなければそもそも向かないのです。また、働き方の多様化に伴って、人材の流動化が進んでいるというのも人材不足に拍車がかかっている理由の一つとなっています。海外の方が待遇が良いケースは少なくないため、優秀なエンジニアの中には日本以外で働こうとする人々が増えてきているのです。
採用によるIoTエンジニアの確保に向けた施策
ここまで見てきたように、IoTエンジニアは深刻な人材不足に陥っているため、製品開発に必要な体制を整えるには計画的に人材を確保するようにしなければなりません。そのためにとり得る施策の一つが採用なのですが、一般的な社員と同じような基準でエンジニアを採ろうとしても、思うような成果を上げるのは難しいかもしれません。というのも、エンジニアの世界では成果主義が当たり前であり、多くの日本企業において根強く残っている年功序列的な給与体系には馴染まないからです。若手であっても優れたスキルを有するエンジニアは少なくないので、そういった人材を採用したいのであれば思い切って採用基準や若手の待遇を見直してみるとよいでしょう。また、外国籍のエンジニアの中にも高い専門性を持つ人は数多くいることから、国籍にこだわらず幅広く多様な人材プールから採用してみるというのも一案です。
多様な労働形態の活用に向けた施策
自社でエンジニアを抱えるのは難しいというような場合には、外部のリソースを活用するという手もあります。例えば、IoTサービスを手掛けているベンダーにアウトソースしたり、人材派遣会社からエンジニアを派遣してもらえば必ずしもコストをかけてエンジニアを雇用する必要はありません。また、人材の流動化に伴ってフリーランスとして活躍する優秀なエンジニアも増えてきていますので、必要に応じてそういった人材に仕事を外注してもよいでしょう。
エンジニアを社員として雇用しようとすると、その人件費が固定費として経営に重くのしかかってきますが、ここで紹介したような方法を利用した場合には、必要ないときは契約を解除すればよいだけなので、余計な支出を抑えることが可能になります。ただし、その反面、しっかりと契約条件を確認しておかないと期待した仕事をしてもらえない恐れがあるという点には注意しなければなりません。メリットとデメリットを比較して、自社にとって最善となる施策を講じるようにしましょう。
育成と労働環境の整備に向けた施策
一般的にIoT業界には労働環境が厳しいという印象があるようです。そのため、優秀なエンジニアに魅力ある職場であると思ってもらえるようにするためには、自社の労働状況をチェックして、必要な点はどんどん改善していくようにしなければなりません。なるべく有給休暇を取れるようにしたり、必要以上に夜間残業をしなくてよいようにするだけでも、転職市場において優れた人材を採用できる可能性は高まるでしょう。
それに加えて、育成制度を整えるというのも重要です。前述の通り、IoTエンジニアとして活躍し続けるためには、常に最新の技術や情報を得られるようにしておく必要があります。優秀なエンジニアを採用したとしても、継続的に学べる環境を整えておかないと数年後には使えない人材になってしまう恐れがありますので、そういったリスクを避けるためにも育成制度は積極的に整備するようにした方がよいでしょう。
IoTの製品開発にはエンジニアの確保が不可欠
優れたIoT製品の開発にはエンジニアの確保が不可欠ですが、以上で見たように、そのためにとり得る施策は必ずしも一つだけではありません。慢性的にエンジニアの人材不足が続く中、いかにして必要な人材を確保できるかは経営状況を大きく左右する重要なテーマですので、ここで紹介した方法を踏まえて、自社のニーズに応じた最善の対応をとるようにするとよいでしょう。
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