IoT製品を開発する際に、アジャイル開発やスクラムという用語を聞く機会が増えていませんか。システムやソフトウェア開発において、効率的な開発プロセスが重要視されています。スクラムを始めアジャイル開発は、プロジェクトの開発になくてはならない開発手法のひとつ。ここでは、アジャイル開発とスクラム、その特徴やメリットについて詳しく解説します。
アジャイル開発とは
アジャイル開発とウォーターフォール開発
アジャイル（Agile）は英語で、「すばやい」という意味の用語です。アジャイル開発は、システムやソフトウェア開発において、小さい単位の中ですばやく開発とテストを繰り返します。アジャイル開発が生まれる前は、ウォーターフォール開発という手法が主流でした。ウォーターフォール開発とは、開発前にプロジェクトの分析や設計を細かく決定してから開発を行い、最後にテストと保守を行う流れです。大規模な開発で取り入れられていた手法ですが、工程に変更が出たり、設計にエラーがあった場合、修正に多くの時間やコストがかかることがデメリットでした。
アジャイル開発の流れ
アジャイル開発では、小さい単位で開発とテストを繰り返すため、エラーが発生してもすぐに対応でき、結果として短い納期でより良い製品の開発につながるのが特徴です。クライアントも開発に参加し、開発後期であっても要件の変更ができるため、クライアントのニーズに合う製品が生まれます。アジャイル開発では、1ヶ月未満の反復期間を設定し、開発対象と優先順位づけを行うのがポイントです。機能ごとに設計と実装を行い、テストでエラーを確認します。開発担当者は、役割分担を設けず、開発のすべてに関わるのが一般的です。反復期間が終了すると、機能をリリースし、十分な機能が整ったところで開発は終了。クライアントのニーズによっては、機能の追加のために開発が継続されることも多いです。
スクラムとは
スクラムとは
短期間で開発とテストを行うアジャイル開発の中には、いくつかの方法があります。スクラムはアジャイル開発の手法のひとつで、チーム一丸となってシステム開発を行うプロジェクト管理手法のこと。ラグビーの試合で止まったゲームを再開するためにスクラムを組むように、チームが一体となって開発を進めるのがスクラムです。開発中はチームはクライアントからの干渉を受けずに開発に集中でき、機能はスプリントと呼ばれる反復期間毎に決定されます。スクラムではチーム内のコミュニケーションを重視し、短期間での開発を行う手法です。
スクラム開発の流れ
スクラムチームではチームの責任者であるスクラムマスター、製品の価値に責任を持つプロダクトオーナー、開発チームで構成。スクラムチームは、実装予定の機能の中から、スプリント毎に追加する機能を決めます。毎日決まった時間に短時間のミーティングを実施し、開発の進行状況や問題点などを共有して仕事を効率的に進めるのが特徴です。スプリントの最終フレーズでデモを行い、クライアントからフィードバックを受けます。問題なければ機能はリリースされ、問題点がある場合には次回のスプリントで修正が可能です。スプリントのレビューが終わるとスプリントチームで振り返りを行い、より良い開発につなげます。
アジャイル開発とスクラムのメリット
アジャイル開発のメリット
アジャイル開発では、短い期間でのリリースが可能で、スピーディーに欲しい機能が追加されます。1ヶ月未満の短い期間で開発が繰り返されるため、クライアントの急な要望にも対応が可能です。機能追加までの期間が早いため、クライアントのニーズにすばやく応えられます。開発チームだけでなくクライアントが実際の製品を見て確認できるため、新しいニーズやアイデアが生まれやすいでしょう。テストや検証を繰り返し行うため、大きなエラーが出にくいのも特徴です。結果として、顧客満足度の高い製品を作ることができます。アジャイル開発では、役割分担を作らないことから、エンジニアがさまざまな仕事を通して技術向上でき、チームとしての成長を期待できる点もメリットです。
スクラムのメリット
スクラムを導入することで、スプリント毎にクライアントに機能を提供できるだけでなく、フィードバックを受けられます。クライアントのフィードバックは、要望に合った開発に欠かせません。スクラムチームは、プロジェクト毎に作られ、目標の達成のために状況を日々共有し、切磋琢磨します。スプリント中は、チームのメンバーが開発方法を決定して自律的に行動できるため、生産性の向上やチームの成長を促すことが可能です。スクラムはコミュニケーションを重視するため、状況把握がしやすく問題点が早い段階で見つかります。正確な工数の見積もりもできるため、効率的な開発に欠かせない手法です。
短期開発のアジャイル開発とコミュニケーション重視のスクラム
短期間で開発とテストを繰り返すアジャイル開発。クライアントの要望や機能追加にスピーディーに応じることができるアジャイル開発は、今や開発の主流になっています。アジャイル開発の手法のひとつであるスクラムは、チーム内でのコミュニケーションを重視し、自律的に開発を行うことが可能です。クライアントのレビューで振り返り、品質の向上とチーム内の成長に欠かせない開発手法になっています。
コメント