POC検証の進め方やポイントをご紹介

近年、IoT機器の開発に限らず、様々なシステム開発プロジェクトにおいてPOC検証を実施するケースが多くなっています。POCとは「Proof of Concept」の略であり、直訳すると「概念の証明」となりますが、IT業界においては、「プロジェクトを本格的に進める前に、目指すべき開発の方向性を確認・検証するために実施する小規模テスト工程」を指します。

本記事ではPOC検証の進め方やポイントをご紹介していきます。

目次

POC検証の進め方やポイント

POC検証の進め方とポイントについて、一般的な流れをご紹介していきます。

#フェーズ1:POC検証の目的とゴールの設定

POC検証を始める前に、そのPOC検証自体が「何を目的としているのか」「どんなデータを得ることを目的としているのか」といった短期的なゴールはもちろん、そのPOC検証の先にある「目指すべき最終的なゴールは何なのか」ということまで検討し、明確に設定しておく必要があります。

このゴールが曖昧なままPOC検証をスタートしてしまうと、「POC検証の終了タイミングを見誤る」「成果であるデータを正しく分析することができなくなる」「POC検証だけ実施してなんとなく終了」というような失敗が発生してしまいますので、注意が必要です。複数のメンバーで取り組むようなPOC検証の場合、特に重要な工程となります。

#フェーズ2:具体的なPOC検証内容の設定と必要な資源の調達

ゴールが明確になった後は、具体的なPOC検証内容の設定に入ります。設定したゴールを達成するために必要な検証項目や、その検証に必要な機材・環境・人材などの資源を調達していきましょう。ここで大切なことは「安易に妥協しないこと」です。必要な検証を実施するための理想的な資源を調達することは難しいかもしれません。しかし、安易に妥協してしまうと、フェーズ1で設定したゴールが達成できない可能性が高まってしまいます。

企業であれば「他部署への強力を要請する」、あるいは「自社を飛び出して他社に協力を仰ぐ」など視野を広げて、できるだけ理想に近い資源の調達を目指しましょう。

#フェーズ3:POC検証の実施

検証項目を作成し、必要な機材・環境・人材が揃ったところで、いよいよPOC検証の実施となります。検証に必要な期間は検証項目の内容や量によりますが、事前に決定した検証項目に従って、粛々と進めていきましょう。もし事前に想定していないような事態が発生した場合には、次の振り返り工程で重要な要素となりますので、その内容をしっかりと控えておく必要があります。

#フェーズ4:POC検証結果の分析

全ての検証項目を実施した後は、検証結果の分析に入ります。「事前に想定した結果が得られたのか」「想定外の検証結果はなぜ発生したのか」といった内容をしっかりと分析し、最終的なゴールに進むための情報を整理していきましょう。

なおこの工程では、「POC検証の継続要否」についても判断を行うことになります。POC検証は必ずしも一度で完了するものではありません。必要に応じてフェーズ1~4を繰り返し実施することで、より有意義な検証結果を得られるよう継続する事も大切なポイントです。

ただ置かれている環境によって、時間やコストなどの限度があると思いますので、POC検証で得られる成果を踏まえて、総合的に検討・判断する必要があります。

POC検証のメリット

POC検証を行うことは様々なメリットがありますので、ご紹介していきます。

#開発リスクを抑制できる

POC検証は実際のシステム開発に先んじて、小規模で開発テストを進めるものです。それにより「POC検証無しで進めた結果、開発コンセプトに大きな問題がある事が判明し、プロジェクト終盤になって大きな手戻りが発生してしまった」というような大きなリスクを回避できます。

またPOC検証の段階で、本番プロジェクトでは不要な検証を抽出することもできますので、開発コストの観点でもリスク抑制効果があると言えます。

#投資リスクを抑制できる

POC検証によって、システム開発の実効性や実用性を小さい規模で確認可能です。POC検証を実施せずに投資判断を行う場合、机上の議論だけに基づいて判断することが求められますが、POC検証の実施で小さい規模での事実(ファクト)に基づいた投資判断が可能なため、投資リスクを抑制することができます。

#ステークホルダーの理解を得ながら開発を進めることができる

POC検証の工程では、その準備や実施にあたって本番の開発に関わるであろう様々なステークホルダーと協力しながら進める必要が出てきます。その過程を経ることで、最終的な投資判断が下され、本格的にプロジェクト開始となった場合にも、ステークホルダー側もある程度の内容を把握できているため、協力を得やすいという事も大きなメリットと言えます。

POC検証で適切なシステム開発を進めましょう

新しいシステムや製品の開発にはリスクは付き物です。リスクをゼロにすることはできません。しかし、今回お伝えした進め方やポイントを念頭にPOC検証を進めることで、様々なリスクを抑制することができますので、ぜひ活用してみてください。
ただし、あくまでもPOC検証は手段であって目的ではありません。「開発の最終的なゴール」を見失うことがないように進めていきましょう。

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