モノとインターネットを繋ぐIoTは開発競争が進んでおり、各企業がしのぎを削っています。
自社でIoT商品・サービス開発を手がけるには、様々なノウハウが必要になるでしょう。IoTは利用可能な技術が積極的に模索されている分野であり、その中でもWeb APIと呼ばれるシステムの注目度が高まっています。
今回はWeb APIについて掘り下げていきましょう。
Web APIとはどのようなものか
Web APIはIoT製品の開発競争が加速する以前から活用されてきた技術仕様です。まずはWeb APIの基本情報から押さえていきましょう。
Web APIの概要
apiとは「Application Programming Interface」の頭文字を取った略称であり、アプリに内包されている機能の一部を外部アプリと共有出来るようにする技術です。この中でもWeb上のアプリに設けられ不特定多数のユーザーや開発者に公開されているものをWeb APIと呼びます。APIのプログラミング言語は多種多様ですが、Web APIの場合は原則的にHTTP/HTTPSがベースになっているのが特徴です。
なぜ注目されているのか
通信技術の発達・デバイスの普及を背景に、インターネットを通じてサービスを提供する企業は大きな躍進を遂げたと言えるでしょう。その影で活用されていたのがWeb APIです。既存のサービスの一部を利用する事でさらに便利なアプリを開発する「マッシュアップ」や、Web APIを提供する側・利用する側がお互いの利益を循環させる「APIエコノミー」といった概念も生まれました。アプリ同士を繋ぐ事でIT業界を支えてきたWeb APIは、モノとインターネットを繋ぐIoTへの有効利用が期待されている技術なのです。
実際の活用事例
Web APIは既に数々の大企業で活用されてきた実績がある、信頼性の高い技術です。例えば大手検索エンジンを運営するGoogle社では、同社の地図検索サービスであるGoogle MapでWeb APIを提供しています。これによって外部サービスでは地図情報の埋め込みやルート検索機能の開発などが実装されました。世界中にユーザーを抱える人気SNSのTwitterでもWeb APIが公開されており、サードパーティ製のアプリには公式アプリ未実装の機能を使用する事が出来るものもあります。
活用におけるメリット
Web APIを用いた開発は時代背景に即しているだけではなく、以下のようなメリットが期待されています。
システム開発の効率化
Web APIは既存のアプリやシステムの一部を合法的に転用出来るため、様々なコストを押さえた上で効率的な開発を実現可能です。1からプログラムを組み上げる必要がないため開発期間の短縮にも繋がります。IoT開発ではITスキルや知識を身に付けた人材の確保が必要になりますが、IT業界の人手不足は慢性化しているのが現状です。限られた人手で効率的に開発事業を回すためには、Web APIの活用が有効と言えます。
サービス品質向上
Web APIは各企業の得意分野を活かしたシステムを組み合わせる事で、より一層高品質なサービスを開発したり利便性を向上させる事が出来ます。よく知られている例としてはユーザーが既に登録しているSNSのIDやパスワードを、Web APIによって他サービスのログインに使用する仕組みが挙げられるでしょう。ユーザーは新しく個人情報を入力する必要がなく、それでいて高いセキュリティ性を保ったままログイン機能を利用出来るのです。IoTの分野においてもアプリ開発企業と家電メーカーそれぞれの強みを合わせた製品開発が模索されています。
Web APIにはどんな種類がある?
一口にWeb APIと言ってもいくつかの種類があり、それぞれで特徴が異なります。自社開発に適した仕様を採用するためにも、ここでは代表的なものについて見ておきましょう。
REST「Representational State Transfer」を略したAPIをRESTと呼びます。RESTは通信プロトコルではなく設計思想であり、「アドレス可能性」「ステートレス性」「統一インターフェース」「接続性」の4つの原則を守る事でシンプルながら効率的に複数のアプリを連携させます。Web APIの中でも主流となっているので、RESTに精通した開発者の確保は優先させておきたいところです。
SOAPSOAPは「Simple Object Access Protocol」の略称で、HTTPのリクエスト・レスポンスをXMLフォーマットで行うプロトコルとなっています。HTTP以外の通信プロトコルも使用可能で高性能なシステムが組み上げられますが、その分構造が複雑になりやすいという側面もあるので注意しましょう。
XML-RPCXMLのデータをHTTPもしくはHTTPSでやり取りする通信プロトコルを、XML-RPC(Remote Procedure Call)と呼びます。RPCは日本語で「遠隔手続き呼び出し」と訳され、APIで使用されるプロトコルとしては最も古い部類のものです。前述のSOAPはこのXML-RPCを拡張して開発されました。
JSON-RPCJavascriptのオブジェクト表記(JSON)をRPCに使用した通信プロトコルがJSON-RPCです。アプリ開発の言語としてシェア率の高いJavascriptを使用している事、計量でシンプルな定義となっている事などからJSON-RPCを採用している製品も少なくありません。
Web APIを活用してIoTの未来を切り開こう
2000年代から様々なサービスで利用されてきたWeb APIですが、その役目はIoT開発が進むこれからも続いていくと言えるでしょう。特に主流となっているREST APIはIoTへの有効活用が進められており、取り扱いに長けた人材の価値が高まっています。
自社でIoT製品の開発に着手するのであれば、まずはREST APIについてのノウハウを蓄えるのが良いでしょう。
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