IoTに最適なテスト駆動開発のメリットやデメリット、やり方を解説

IoTやDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、システム開発に取り組む企業が増えています。

システム開発には計画や仕様の変更に対する柔軟性や、機能追加のしやすさを求められるケースが多いため、導入が進んでいるのが「テスト駆動開発」です。この記事では、「テスト駆動開発」の概要、メリットやデメリット、実際の手順を解説しています。

目次

確実性を追求する「テスト駆動開発」

テスト駆動開発はTDD(Test-Driven Development)とも呼ばれ、テストコードを書いてから実装、改善する開発手法です。

正確に動作する必要最低限な機能を持たせ、そこからビルドアップします。従来の「ウォーターフォール型開発」では、設計してから実装し、テストを実施します。工程が一方通行なため、仕様や計画を途中で変えたり、機能を追加したりする場合には、開発者の負担が大きくなります。また、コードにエラーがあった際に、その部分を特定するのにも時間がかかる点が問題でした。一方、テスト駆動開発は、安定した土台を作ってから積み上げていくように、重要な機能を確実に設計し、そこから機能を追加していきます。

機能の追加とテストを繰り返しながら開発するので、計画や仕様の変更、さらなる機能の拡張にも対応できます。そのため「アジャイル開発」とも相性が良く、導入が進んでいるのです。「アジャイル開発」は機能ごとの小さな単位で開発を進めます。仕様の変更や機能の追加を前提としているので、IoTなどのソフトウェア開発に適しています。テストが先行すれば「テスト駆動開発」となり、安定性と拡張性を保った開発が進められるでしょう。

テスターが実施するテスト手法と誤解されることもあるので、誤解を防ぐために「振る舞い駆動開発」と呼ばれる場合もあります。

「テスト駆動開発」の3つのメリット

テスト駆動開発のメリットは以下の3つです。

理解しやすい

要件や機能を細分化して開発を進めるため、一つひとつを理解しやすいメリットがあります。コードが多く、複雑になるほど全体の理解と把握は難しくなります。細分化されていれば理解しやすく、複数の開発者で共有する場合にも適しているでしょう。

開発者の負担が減る

開発工程を細分化するので、バグやエラーの早期発見につながり、開発者の負担を減らすことが可能です。バグやエラーが発生した場合は、その部分を特定して修正する「手戻り作業」を行います。細分化されていない開発では、エラー部分の特定に時間がかかります。コードの追加とテストを繰り返す「テスト駆動開発」はエラー部分の特定にかかる時間が少ないため、開発者の負担軽減につながるでしょう。

プログラムを追加しやすい

「テスト駆動開発」はコードを追加した後に、コードを整える「リファクタリング」を実施します。コードが整いシンプルになるとエラーが減り、機能の追加によって他の部分に異常が起こっていないかを確認する「リグレッションテスト」もスムーズに行えるでしょう。その結果、プログラムや機能を追加しやすいことがメリットになります。

「テスト駆動開発」のデメリット

「テスト駆動開発」のデメリットは2つあり、以下のとおりです。

慣れるまでは負担が増す

開発に進む前に、テスト用のコードを書き込む工程があるので、慣れるまでは「ウォーターフォール型開発」と比べて時間がかかる場合があるでしょう。経験を積み、開発前の工程がスムーズに進めば、「テスト駆動開発」のメリットが活かされます。また、仕様の変更によって、テストコードも書き換えが必要になる場合もあります。

開発費用が増える場合がある

テストコードの書き込みや繰り返しのテスト、コードを整えるリファクタリングなどで作業量が増えるため、開発費用が増える可能性があるでしょう。しかし、大規模な手取り作業やデバッグに比べると、費用の負担は軽減されます。

「テスト駆動開発」の3ステップ

「テスト駆動開発」には3つのステップがあり、以下の流れで進みます。

  • 失敗するコードを書く

正常に動作しないコードが、失敗と判断されるかを確かめるための工程です。失敗するコードがテストをクリアしてしまうと、実装時にエラーが発生した際に、エラー部分の特定が難しくなります。あとの工程の確実性を高めるための作業であり、赤色でエラーが表示されることから「レッド」と呼ばれる手順です。

  • 成功するコードを書く

成功するコードを書き、正確に判断されているかをチェックします。開発費用と時間を浪費しないために、重要なプログラムの確認を最低限に抑えましょう。正常なコードは緑色で表示されるため、この手順を「グリーン」と呼びます。

  • コードを整えるリファクタリング

コードを書き込み、テストを通過したら、整えるためのリファクタリングを実施します。コードのムダを省き、シンプルにすることで、仕様を変更する際の柔軟性と機能の拡張性が高められます。

IoTに適したテスト駆動開発を導入しよう

IoTやDXには、利便性の向上が求められます。機能の拡張や、環境に合った仕様の変更に対して「テスト駆動開発」は適性が高いでしょう。

また、開発者の負担を軽減できるメリットもあります。テストコードを書く重要なプログラムを絞り、経験を積むことで、デメリットは解消できます。IoTの開発に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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