IoT製品の開発を行う場合には、それに搭載するミドルウェアやソフトウェアについても開発しなければなりません。もっとも、そもそもミドルウェアとソフトウェアはどう違うのかという点についてしっかり理解しているという方は意外と少ないのではないでしょうか。以下では両者の違いについてわかりやすく説明しますので、ぜひ参考にしてください。
ソフトウェアとは?
まずはじめに、ソフトウェアとは、パソコン本体やタブレット端末といったハードウェア上で何らかの処理を行うプログラムのことを言います。ソフトウェアにも様々な種類があるのですが、一般的には特定の処理を行うことを目的としているアプリケーションソフトウェアを指して単に「ソフトウェア」と呼ぶケースがほとんどです。アプリケーションソフトウェア以外のソフトウェアには、CPUなどのハードウェアの管理を担うオペレーティングシステム(OS)をはじめとするシステムソフトウェアなどがありますが、次に取り上げるミドルウェアも広い意味ではソフトウェアに含まれます。
ミドルウェアとは?
次に、ミドルウェアというのは、「ミドル」という名称が用いられていることから分かるように、何かと何かの中間に位置するプログラムを言います。ここでいう何かと何かとは、オペレーティングシステム(OS)とアプリケーションソフトウェアの2つです。OSというのは、パソコンのWindowsやスマートフォンのiOSのように、ハードウェアである端末を管理する機能を担うプログラムです。一方、アプリケーションソフトウェアは、前述のように特定の処理を担うプログラムとなっています。ミドルウェアは、この2つのプログラムの中間にあって、両者が円滑に動作するために必要な処理を行うという重要な役割を担うプログラムなのです。
もう少しわかりやすくミドルウェアの役割について説明します。OSはコンピューターの管理に必要な基本的な機能しか備えていないのに対し、アプリケーションソフトウェアは特定の処理に特化しているため汎用的な機能は有していません。そのため、この両者を一緒に動作させようとすると、間を取り持つものがないために、スムーズに処理が行えないケースがほとんどです。そこで、多くのアプリケーションソフトウェアに含まれている共通処理部分をサポートしてOSと円滑に処理を行えるようにするためのプログラムが必要になってきます。その役割を担うのが、ミドルウェアなのです。
例えば、あるOS上で、2種類のデータベースソフトを動作させる場合、一つの方法としてはそれぞれのデータベースソフトにOSと連携するための共通機能を組み込むというやり方が考えられます。しかしながら、そのためには2種類のプログラムを新たに作成する必要があり、非常に非効率な作業を強いられることになりかねません。これに対し、ミドルウェアであれば、2つのデータベースソフトとOSとをつなぐものを1種類だけ作成すれば済むため、開発に要する作業ボリュームを大幅に抑えることが可能になります。このように、OSほど基本的過ぎず、アプリケーションソフトウェアほど特定の処理に特化しているわけでもない、まさに両者の中間に存在しているのがミドルウェアというプログラムなのです。いわゆるソフトウェアとの違いは、特定の処理に特化しているかどうかという点にあるとも言えるでしょう。
ミドルウェアの種類とは?
最後に、ミドルウェアにはどのような種類があるのかという点について見ておくことにしましょう。具体的な種類としては、Webサーバーやアプリケーションサーバー、データベース管理サーバーなどがあります。このうち、Webサーバーというのは、ブラウザから送られてくるリクエストに応じて求められるWebページを送信するミドルウェアです。これがないと、ユーザーが必要とするWebページを瞬時に閲覧することが困難になるため、インターネットの利用者にとっては無くてはならない重要なものであると言えるでしょう。
アプリケーションサーバーは、Webサーバーから送られるリクエストに応じてアプリケーションを動作させ、動的コンテンツを生成するという機能を担うミドルウェアです。アプリを正しく動作させるためにはこのミドルウェアが不可欠となります。データベース管理サーバーは、データベース管理システムが正しく作動するために必要な指示を行うミドルウェアであり、こちらもデータベースを正確に動作させるうえで欠かせません。
ミドルウェアとソフトウェアの違いをしっかり理解しておこう
以上で見てきたように、ソフトウェアとミドルウェアの大きな違いは、前者が特定の処理に特化しているのに対し、後者はOSとアプリケーションソフトウェアとをつなぐ機能を有しているという点にあります。IoT製品の開発においては、この2種類のプログラムは必要不可欠なものとなりますので、それぞれの違いをきちんと理解しておくようにしてください。
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