近年、IoTという言葉が頻繁に用いられるようになりました。IoTはインターネットとモノをつなぐことを意味していると捉えられており、さまざまな企業がその開発に乗り出しています。この記事ではIoTの開発環境について解説します。モノとインターネットをつなぐために、どんな機器やシステムを用意しておかなければならないのでしょうか。以下でみていきましょう。
IoTとはどういう意味?
IoTとは「Internet of Things」の略語で、日本では「モノのインターネット」と呼ばれることもあります。さまざまなモノをインターネットにつなぐことで、モノの遠隔操作・モノの状態確認・モノ同士での通信などを可能にします。例えば、インターネットにつなげることによって遠隔操作ができる防犯カメラはIoTが施されてあるといえるでしょう。IoTの普及によって、モノの利便性が向上するだけでなく、従来とは異なったデータの収取が可能となり、ビジネスなどへの活用が期待されています。
開発環境に必要なデバイスはこれだ
IoT開発環境はハード面とシステム面の2つに大別できます。ハード面では、モノをデジタル化し情報の収集と発信を可能にするための「デバイス」が必要です。デバイスとはモノに接続して使う装置のことです。IoTの開発環境では、センサー・メーター・ビーコン・ゲートウェイの4つの機器の用意が求められます。
#センサー
センサーは、いうなれば機械の目や耳となるもので、受動的にパラメーター変化を検知します。また、モノにセンサーを取り付けることによって、さまざまな情報の収集が可能になります。デバイスのなかでもセンサーはIoT技術の核心となる部分です。センサーのモノへの組み込みやほかのデバイスとの連携は、IoTの機能そのものに影響を与えるためです。センサーの感知対象には、温度・位置・振動・赤外線・加速度などがあります。開発するIoTの使用目的に合わせて適切なセンサーを準備しなければなりません。
#メーター
パラメーター変化があったとき、その変化の度合いや量がわかれば、より有益に情報を利用できます。それを可能にするデバイスがメーターです。メーターはパラメーターを測定するためにモノに組み込まれる計測機器のことで、データの蓄積にも役立ちます。
#ビーコン
センサーとは逆にビーコンは能動的なデバイスです。センサーから得られたパラメーター情報や機器の状態を、利用者やほかの機器に知らせる役目を担っています。いわばIoTにおける声といえるでしょう。例えば、あるアパレルショップでは、二次元コードとビーコンを結びつけて活用しています。スマートフォンで二次元コードを読み込むと、試着希望の服が試着室に用意されます。これによって在庫管理を簡単にし、店員の労力を減らすことに成功しました。なお、二次元コードで読み込んだ商品はインターネットで購入可能です。
#ゲートウェイ
最後に、これらの機器を組み合わせるデバイスを開発環境に用意しなければなりません。ゲートウェイは、センサー・メーター・ビーコンをまとめてインターネットとつなぐデバイスです。ゲートウェイを使う理由は、接続プロトコル(通信手順)がデバイスによって異なるからです。プロトコルが異なると相互の通信ができません。IoTを開発し実現するには、プロトコルを変換して中継するゲートウェイが必要です。
必要なネットワーク環境を揃えよう
インターネットにつなげられなければ、IoTとして成り立ちません。そこで、インターネットやデバイスとつなぐための「ネットワーク」がIoTの開発環境には求められます。無線LAN・Bluetoothのような伝送媒体だけでなく、開発中のIoTに適したプロトコルの準備もしておきましょう。
もし、開発中のIoTシステムが、企業内のシステムからアクセスできるものであれば、中間サーバーも必須になります。このようなシステムの多くは中間サーバーを挟むことでセキュリティを高めているからです。IoTの開発環境においても、中間サーバーを用意しておかなければ、開発したIoTシステムの性能を確かめることが難しくなるでしょう。なお、中間サーバーは大手のインターネットサービスを外注することで代用することも可能です。
データ分析が成功の鍵
デバイスから集められた情報は、データ分析を介することで、新しいビジネスやサービス開発への原動力となります。デバイスから送られてくるデータを蓄積し、扱いやすいデータ群にまとめるには、専用のアプリやガジェットといったシステムの準備がいります。より早く大量のデータを分析するために、近頃では情報の管理や分析にAI(人工知能)を用意する事も珍しくありません。
また、インターネット上に用意したアプリケーションを利用してIoTシステムを使う場合、その使用回数や利用状況を把握するための準備も、IoT開発環境に必要です。特にアプリケーションを提供して不特定多数の人にIoTを利用したシステムの使用を許可する場合、ユーザーがどのようにアプリケーションを利用しているかの情報は、IoTシステムの改善にとって重要なものです。そのため実データを収集できるアプリケーションの用意は、IoT開発環境に欠かせません。
なお、使用回数や利用状況などの分析に使うアプリケーションやガジェットの作成には、IoT開発とは異なったスキルや開発環境が求められる場合があります。それゆえに、アプリケーションやガジェットの作成については、すべて外注しているIoT開発企業も存在しています。
外注やクラウド化も考えよう
IoT開発環境には、4つのデバイスと、ネットワーク環境やデータの分析環境といったシステムの準備が必要です。ただし、大きなIoTシステムの開発になるほど、用意しなければならない開発環境の要件は増えていくので注意しましょう。なお、開発環境を全て自前で準備できない場合は、外注あるいはクラウドサービスの利用によって用意することも可能です。
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