インターネット技術の急速な普及に伴い、IoTという言葉を耳にすることが増えてきました。この概念をビジネスに応用したものが「IoTソリューション」ですが、企業が求めている製品やサービスにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、IoTソリューションとは何か、企業が期待するメリットとは何かを解説するとともに、具体的な事例や今後の課題について掘り下げてみました。
IoTソリューションとは
IoTソリューションとは、「企業が抱えているビジネスにおける問題や課題をIoTで解決する」ことです。ソリューションという単語から「ITソリューション」と同じに思われがちですが、ITソリューションのITは「Information Technology」の略で、コンピューターやネットワークなどに関する企業が抱える問題点を、インターネット技術を用いて解決することを指します。一般的な例としては顧客データベースの一元化や、社内システムの統合などがあります。
それに対してIoTは「Internet of Things」の略で、「モノのインターネット」と呼ばれることもあります。これまでインターネットに接続していなかった電子機器や設備、車などの「モノ」を、ネットワーク経由でサーバーなどに接続してビジネス上の問題点を解決することを指します。モノとインターネットを連携することで、利便性や作業効率を高めることがIoTソリューションです。
IoTソリューションの導入で企業が期待すること
企業がIoTソリューションを導入することで実現したいことは次の3点です。
・作業効率の改善
・コスト削減
・トラブルの回避
作業効率の改善
企業は、IoTを導入することによる作業効率の改善を期待しています。タクシーや宅配業などの輸送業界を例に挙げると、これまではドライバーの現在位置を知るためには電話による確認作業が必要でした。しかし、車にGPS端末などを搭載すればオフィスのパソコンで瞬時に位置が分かるため、ピンポイントでドライバーに連絡できることや現状を把握できるため作業効率が向上します。また、製造業などもオフィスのパソコンで遠隔地の設備や機器の稼働状況を把握できるようになるため、現地に出向く必要がなくなります。
コスト削減
従来の人の手による面倒な作業や、確認するための移動などが不要になるなど、人がやらなければならない作業を減らしてコスト削減につなげたいという考えがあります。
トラブルの回避
製造業界では製造ラインの一部を停止してしまうと全体に大きな影響が生じるため、設備の点検は欠かせません。IoTを用いて、設備の稼働状況などのデータを常に収集しながら設備トラブルの発生を検知する仕組みを構築することで、トラブルを未然に防ぐことが可能になります。また、人的ミスを防ぐことにもなるため生産性も向上します。
具体的なIoTソリューション事例
IoTソリューションの具体的な事例としては、医療分野でのウェアラブルデバイスがあります。ウェアラブルデバイスとは腕や頭などの体に直接装着する電子機器のことで、患者の体に装着することで、血圧や心拍数などをリアルタイムで計測できます。病院など複数の患者がいる場合でも病室に行かずにナースセンターなどで集計できることや、地方で通院が困難な場合でも遠隔地の病院で医師によるモニタリングが可能となります。IoTソリューションを活用することで、人材不足の解決や、地方における病院や医師不足の解決につながります。
IoTソリューションの今後の課題とは
IoTソリューションの普及には、次のような課題をクリアしなければなりません。
・電力確保
・セキュリティ対策
・ネットワークの負荷
・導入費用
電力確保
電源から端末への電力供給が不可能な場合、電池やバッテリー切れによるトラブル発生の可能性があるため、事前に警告する仕組みが必要です。
セキュリティ対策
IoTはインターネットを活用して提供されるサービスであるため、不正アクセスやハッキングなどのリスクを常に抱えています。セキュリティ確保はIoT普及のための命題と言えます。
ネットワークの負荷
IoTによる通信の増加に伴い、ネットワークの負荷が懸念されています。これから本格稼働する5Gですが、6Gや7Gなどさらなる通信技術の開発が急がれています。
導入費用
IoTの必要性は理解していても、規模によっては高額な導入費用が必要です。普及による市場価格の安定や、公的扶助制度の実現などが望まれます。
さまざまな分野で期待されるIoTソリューション
IoTソリューションの普及は、豊かで安定した社会を実現します。しかし、企業が抱える問題点・課題点の解決に効果的なツールとして幅広い分野での活用が期待されているものの、普及していくには時間がかかります。ここにご紹介したメリットや事例、課題などを参考に、多くの企業が待ち望むIoTソリューション開発を目指してみてはいかがでしょうか。
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