テーマパーク業界は、新型コロナウイルスの影響を克服し、売上の右肩上がりを維持しています。近年、急速な技術革新や社会の変化により、従来の運営手法やアトラクションだけでは顧客の期待に応えることが難しくなっています。2025年に大阪で開催される万博をはじめとする大規模なイベントや、それに伴う観光需要の増加が、テーマパーク業界に新たな市場の拡大と競争の激化をもたらしています。
テーマパーク運営者や企画者は、常に新しい体験の提供や顧客満足度の向上に注力していますが、これまでの手法では限界があります。例えば、従来のアトラクションやショーにおいても、顧客はより没入感のある体験や個別化されたサービスを求めるようになりました。加えて、競合他社の台頭やオンラインエンターテイメントの普及により、テーマパーク業界はますます厳しい競争環境に置かれています。このような状況下で、従来の枠組みにとらわれない新しいアプローチが求められています。
テーマパーク・期間限定イベントの課題
テーマパーク業界における大きな課題の一つは、常に顧客の満足度向上に貢献する新しい体験の提供です。例えば、従来型のアトラクションやショーだけでは、顧客の興奮や驚きを引き出すことが難しくなってきています。また、顧客の期待が高まる一方で、テーマパークの収益性や運営効率の向上も求められています。
テーマパーク業界が成長を続けるためには、これまで以上に高いクオリティの体験と効率的な運営が必要になり、リピーターの獲得や競合他社との差別化を図るために、新しいアプローチを模索しています。
新しい体験・世界観の提供とIoT
IoTを活用することで、テーマパークはこれまでにない革新的な体験を提供することが可能です。実際に大手テーマパークでは、専用のウェアラブルバンドを使ってテーマパークのチケットや支払いを行い、持っている人にのみ発生するイベントやポイント取得など新たな体験を提供しています。また持っている人の位置情報や誕生日や使用言語などによって様々なサービスを提供できることが期待されています。
個人情報の取り扱いの課題もあるようですが大変ワクワクする取り組みです。
さらに今後は、AIやスマートリング、ARグラスなどのデバイスを活用することで、顧客はリアルタイムでパーソナライズされた体験を享受することができることとなるでしょう。これにより、テーマパークは単なる娯楽施設を超えて、感動と驚きに満ちた非日常の世界へと進化していくでしょう。
スマートリングがバイタルデータとアトラクションを連動させ、顧客の心拍や興奮度に応じてアトラクションの体験をカスタマイズします。また、ARグラスを活用することで、顧客は仮想現実と現実世界をシームレスに融合させた体験を楽しむことができます。これにより、テーマパークは単なる観覧者としてではなく、参加者としての新たな価値を提供することができます。
更に、メタバース上でのイベントやコミュニティ参加を通じて、顧客はテーマパークとの関係を深め、ロイヤリティを高めることができます。これにより、テーマパークは単なる一時的な体験ではなく、長期的な関係構築の場として位置付けられます。
運営企業にとってもAIやウェアラブルデバイスを活用することで業務の効率化が期待されています。混雑を予測したスタッフの配置の変更や、天候や過去の入場者によって価格を変動させる事もできるでしょう。
行動軌跡などのデータから店舗やトイレの配置などにも役立てることもできます。
大阪・関西万博におけるIoT活用構想
IoTを活用した期間限定イベントにおける活用について、ご紹介します。大阪・関西万博ではPHRデータ（デジタルを活用して健康・医療・介護に関する患者の情報を統合的に収集し、一元的に保存したデータ）が共通プラットフォーム化した世界を体験できる構想があります。
PHRの取得方法のひとつには、スマートリング・バンドにおけるバイタルデータ（心拍・温度・血中酸素飽和濃度等）があります。
PHRデータを万博アプリと共有することで、行先案内（気温や混雑状況、体調を考慮）やサービス・体験での活動量の記録、健康状態・アレルギー情報に基づいた食事の推奨、緊急対応（万博スタッフへの熱中症・失神時アラート・救護活動連携）等の実現を計画しています。※
我々の身近なイベントにおいても、IoTの活用が始まってきています。
※（経済産業省、令和5年度産業経済研究委託事業、https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2023FY/000539.pdf、2024年3月25日）
最後に
IoTBankでは、テーマパークや期間限定イベントなどの世界観づくりと新しい体験提供において、最新の技術と豊富な経験を活かしてお手伝いします。お客様のニーズに合わせた革新的なソリューションを提供し、テーマパーク産業の未来を共に創り上げましょう。